修士論文を提出しました

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修論提出〆切の日の早朝、大学のそばのコンビニに行った帰りに撮った朝焼け

 先日、修士論文を提出しました。
 そして今日発表をした結果無事受理されたようなので、(よほどのアクシデントがない限り)大学院修士課程を修了することになります。

 今後の進路はといいますと、就職です。
 某出版社の社内SE的な職に内定をいただいているので、四月からは東京に戻ってIT屋さんとしてやっていくことになります。

 D進を選ばずに就職を選んだのは、一言で言えばこのままこの道を続けていっても幸せに思えなそうだったからです。
 研究室の同期などは何も言われずとも好んでarXivをチェックしたり情報収集をしていたのですが、私にはどうもそれほどの興味が物理にはなかったようです。むしろ私がそういうことをしていた対象はプログラミングやITインフラ、それと社会科学方面のものでした。
 決して物理が嫌いというわけではないはずなのですが、こんなことになってしまったのは必要な知識が膨大すぎて溺れてしまったからに思います。研究をするために必要な論文を追いかけたりはしたのですが、知識の基盤がガタガタで、わからないことだらけで嫌になってしまったのだと、いま顧みると分析できます。

 ……なんて書くとネガティブっぽいのですが、進路についてはかなりポジティブな気持ちです。実は、コロナ禍だからと家にいた間ほとんど何も研究が進まなくて卒業が危うかったのですが、どうにか卒業して就職するぞという気持ちで頑張っていました。
 予定外の事象だらけで難航した就活だったのですが、やっと得られた内定先は天職なんではと思うくらいでした。やっぱり私は計算機で諸々するのが好きなのです。その技術で、私が好きな、私をここまで導いてくれた本やオタク文化に奉仕できるなら幸せでしょう。たぶん知らないことをいろいろ教われるであろう新人研修を楽しみにしていたりもします。
 それと、社会人博士など一度大学を出てから戻ってきた人を大学院でたくさん見たことも、いざまたどうしても研究がやりたくなったならば戻ってくれば良いのかな、と未練が少なくなっている理由だったりします。

 じゃあ理学部の物理に進んだことが間違いだったのかと言えば、この選択にも悔いはありません。アカデミアでやっていくぞという気持ちで、そんな空気の中で、いろいろと勉強したり夢を語ったり焦ったり悩み苦しんだりしてきたのは、私の財産です。その中で私の性質やら限界やらも見えました(ええ、短期目標がないとなにもできない人間です、私は……)。
 今思えば、三回生の課題演習がいろいろの転換点だった気がします。前期、怖い先生のゼミで軽く心を病んであまり大学にいけなくなり、一方で実験の楽しさと大変さを知り、後期は物性理論の楽しさを知りました。このときの感触では実験のほうが向いていそうだなと思いつつも、やりたいこと(とたぶん実験では体力がもたないこと)を考えた結果無理して理論系に進んだのが四回生の課題研究と大学院でした。まあ結果を考えるとあまり向いていないことを二年かけて証明したようなものだったのかもしれませんが、それでも妥協せずに思う道を行ってみたというのは、今後に悔いを残さないという意味でよかったと思っています。指導教員の先生にはたいへん迷惑をかけましたが……(放置系の研究室だったらきっと中退していたので、親切にしていただいた先生に本当に感謝しています)。

 と、そんな感じで六年間に及んだ高等教育機関での生活から離れることになります。
 京都も離れることになるので、今後一ヶ月は京都にいるうちにしておくべきことをしたいと思います(あと実は研究の諸々がまだ終わっていない)。本当は大学の友人と酒を酌み交わしたいところなのですが、このご時世だと何とも……。酒は無理でも声をかけてくだされば会いに行くので、よろしくお願いします。