ドラッグアンドドロップされたファイルをWSLのコマンドに渡すバッチファイル - その2

以前書いた記事の補足というかおまけというか。

suzusime-log.hatenablog.jp

前回の記事の「その他の方法」のところで、RubyPythonスクリプトドラッグアンドドロップで起動するためにはレジストリを弄るか2ファイルに分ける必要があると書いた。

しかし、1ファイルかつレジストリを弄ることなく、ドラッグアンドドロップされたファイルを引数に取るRuby等のスクリプトを起動する方法があることを知った。というわけで、この方法を追記しておく。

Rubyの場合

早速結論を示そう。

前回も取り上げた、ドラッグアンドドロップされたファイルをffmpegでmp3に変換するスクリプトRubyで書いたものが以下である。

chcp 65001
cd /d %~dp0
ruby -x %0 %*
exit /b 0

#!ruby
# 与えられた全入力ファイルに対してループ
ARGV.each do |infile|
  # ファイルのwslでのパスを取得
  infile_wsl = `wsl wslpath -a '#{infile.gsub(/\\/, '/')}'`.chomp
  # 拡張子をmp3に変えたものを出力ファイル名にする
  outfile_wsl = "#{File.dirname(infile_wsl)}/#{File.basename(infile_wsl, ".*")}.mp3"
  # ffmpegを実行
  system("wsl ffmpeg -i '#{infile_wsl}' -ab 192k '#{outfile_wsl}'")
end

これを 拡張子batで文字コードUTF-8)保存してやると、ドラッグアンドドロップされたファイルを引数として実行できるファイルが完成する(なお、RubyWindows側にインストールされていて、rubyコマンドプロンプトで入力すれば呼び出せる状態になっている必要がある)。

え? 「Rubyスクリプトじゃなくてバッチファイルじゃないか」って?

……これが今回紹介する手法である「Rubyスクリプトとしても実行できるバッチファイル」である。

要するに「バッチファイルからRubyスクリプトを起動する方法だと2ファイルになってしまうけど、じゃあRubyスクリプトを自分自身に書いてしまえば1ファイルで済むよね」と、そういう話だ。

別にこれは私が考えたものではなくて、「複数のプログラミング言語として解釈可能なプログラム」は polyglot という名で呼ばれている*1

en.wikipedia.org

「超絶技巧プログラミング」とか言われているような非実用的なお遊びプログラミングの方面の手法という印象が強かったのだけれど、こういう風に実用的に役立つ場面もあるのである。

さて、上に貼ったWikipediaにはPerlとしても実行できるバッチファイルとして

 @rem = ' --PERL--
 @echo off
 perl "%~dpnx0" %*
 goto endofperl
 @rem ';
 #!perl
 print "Hello, world!\n";
 __END__
 :endofperl

が紹介されているが、似たことをするにしても私の記したRubyの例は少し黒魔術感が減っていると思う。 これは ruby-x オプションという便利なもののおかげである。

-x[directory]

メッセージ中のスクリプトを取り出して実行します。スクリプトを読み込む時に、#!で始まり, "ruby"という文字列を含む行までを読み飛ばします。スクリプトの終りはEOF(ファイルの終り), ^D(コントロールD), ^Z(コントロールZ)または予約語__END__で指定されます。

ディレクトリ名を指定すると、スクリプト実行前に指定されたディレクトリに移動します。

これで前半のバッチファイル部分は読み飛ばしてくれるから、Wikipediaの例のように頑張って文字列リテラルに見せかけたりする必要はないのである。

Perlの場合

ruby-x オプションとほぼ同じ働きをする -x オプションがPerlにもある。というかRubyのオプションはおそらくPerl由来である(要出典)。

なお、ドキュメントには

-x
-xdirectory

メールのような大きな無関係のテキストのかたまりの中にプログラムが 埋め込まれている事を Perl に伝えます。 最初の #! で始まり、"perl" という文字列を含む行までの、先行するゴミは 捨てられます。 その行にある意味を持つスイッチは適用されます。

(後略)

とある。 polyglotは後から出てきた使い方で、この機能は本来メールでプログラムやパッチをやりとりしていた時代の遺物なのだろう。

面倒なのでmp3変換の例は書かないけれど、ほとんどRubyと同じ使い方ができるはずだ。

Pythonの場合

Pythonの場合も同様のことはできるのだが、事情は少しだけ異なる。

-x

Unix 以外の形式の #!cmd を使うために、ソースの最初の行をスキップします。これは、DOS専用のハックのみを目的としています。

とのことで、最初の1行しか読み飛ばしてくれない。

だが対応策は単純で、バッチファイル部分を1行に収めればよい。

chcp 65001 & cd /d %~dp0 & python -x %0 %* & exit /b 0
#!python
print("Pythonから話しかけています")
import time
time.sleep(5)

シェルスクリプトでの;に相当するコマンドの連結が、バッチファイルでは&でできるので、それを使って改行をなくしてやるだけである。

結語

以上、バッチファイルとして各種軽量プログラミング言語スクリプトを実行する方法を紹介した。古典的な方法であるが、バッチファイルで苦労する機会が減らせるかもしれない。

なお、これと同様のことはバッチファイルではなくLinuxシェルスクリプトでも可能だが、シェルスクリプトならヒアドキュメントを使ってもほぼ同じ事が実現可能である(そしてヒアドキュメントのほうが素直だと思う)。

*1:polyglot の本来の意味は「多国語に通じた人」「多国語で書かれた書物」等。

ISUCON10予選に出た

先週土曜日(9月12日)に開催されたISUCON10の予選に出場していました。

ISUCONというのは、「いい感じにスピードアップコンテスト」の略で、与えられたWebサービスを高速化し、その速さでつけられる得点で競う大会です。

isucon.net

isucon.net

三人までのチームで参加できるので、私(@suzusime)、kurimotzくん(@chestnut314 )、aotsukiくん(@RikuAotsuki)(ともに京大マイコンクラブの後輩)と一緒にチーム「狼と神々の犬部」として参加しました*1。kurimotzくんが2度目の参加、私とaotsukiくんは初参加でした。

結果、0点で残念ながら本戦には出場できませんでした。0点になってしまったのは最後にいろいろミスってまともに動作しなくなってしまったのが原因ですが、それがなかったとしてもまあ本戦にいける点数にはなっていなかったように思います。

練習

  • 5日前に集まって(といってもオンラインですが)、ISUCON9の予選問題を皆で解きました。 - プロファイルの取り方、MySQLへのインデックスの貼り方、N+1問題の解決法などを確認しました。
    • このときはPythonを使いましたが、メンバーが少しJavaScriptのほうが得意(?)なのと型があると嬉しいということで本番ではnode.js(TypeScript)にすることにしました。
  • 練習のあと、やっぱりNewRelicとかいうのを使えるとよさそうということで無料提供に申し込み、本番前日にNewRelicを突っ込んでもう少し練習するなどしました。

isucon.net

本番振り返り

本番は練習と同じく、直接集まることはなくSlackのテキストチャットとボイスチャット(Slack Call)を使って連絡しながら行いました。

9時前

予選は10時開始18時終了予定ということで、生活リズムが狂いがちな中、なんとか8時頃には起きました。……が、運営より準備が想定より長くかかっているため開始が12時以降になるとのアナウンス。参加者Discordで「12時までに始まることはありますか?」「ないです」という旨のやりとりがなされていたのを確認し、少し寝ることにしました。

Discordで「いい感じに少し眠るコンテスト」って言っていた人がいてよかったです。

12時20分

結局開始は12時20分になりました。半分くらい食べたとんかつ弁当を冷蔵庫にしまって競技開始です。

最初は2手に分かれました。kurimotzくんとaotsukiくんはドキュメント読み、私は初期実装を起動したりする係になりました。 与えられた踏み台サーバーへの接続用sshconfigが私のWindowsではそのまま動かなかったり(WindowsのOpenSSHでは踏み台利用で問題が起きがちなことを知っていたので少し調べましたが、適当なところで諦めてWSLからSSHすることにしました)、手元にトンネルを掘らないとWebサービスに繫げない仕様など、少し戸惑うことはありましたが無事にログインし動作確認をすることができました。

コロナ禍の時事ネタということで出前サービスあたりかなと予想していたのですが、そんなことはなくISUUMOなる物件検索サイトが題材でした*2

なお、この段階で今年はnode.jsの参考実装がTypeScriptではない素のJavaScriptであることが判明しましたが、そのままいくことにしました。

その後、最初の手を入れていない段階で試しにベンチマークの点数を見てみたいところでしたが、参加者向けポータルの不具合(というより過負荷?)でベンチマーカーが起動できない状態だった*3ので、初期状態でのベンチマークは諦めてaotsukiくんにNewRelicのコードを差し込んでもらいました。

13時頃

ドキュメント読み班からの報告で「今年は去年と違ってBotを弾く要件があって、わざわざそんなことが書かれているのだからやれば効きそう」というのがあったので、やることにします。これはUserAgentを見て弾くという要件なのですが、それなら入り口たるNginxでやるのがよかろうということで、比較的Nginxに詳しい私が担当することにしました。

弾くべきUserAgentはドキュメントに正規表現で与えられていたのですが、そのままコピペするだけでは nginx -t が構文エラーを吐きました。

与えられた正規表現を見ると理由もなさそうなのに (?: )(キャプチャ内容を記憶しない括弧)が使われていたりして、そのへんが悪いのかと思って怪しげな表現を消したりしていましたが、それではまだ通りませんでした。 結局、怪しげなパターン以外を少しずつ設定ファイルに足してはテストにかけて構文エラーで怒られないところまでやる、という方法をとりました。

観測の結果、半角スペースとセミコロンがパターンの中に含まれると構文エラーが出ることがわかりました。エスケープの方法がよくわからなかったので、単純にこれらをパターンに含めない(=ブロックしない)ことにしました(完全にBotをブロックすることはできなくなりますが、そのような例は少ないことが想像されたため)。

なお、与えられた正規表現がどういった方言なのか(PCREなのか)についてclarを送ってみましたが、ノーコメントということでした(そこに何かポイントがあったのでしょうか)。

あとの2人は同時並行でデータベースにインデックスを貼ったり、アプリのコードを見て怪しげなクエリを解きほぐす作業をしてくれました。

このへんでベンチマークができるようになったため試してみましたが、Botを弾く設定ではほとんど点数が上がらず、インデックスを貼るのは効いたな、という感じでした(手元に点数の記録が残っていないのであまり確かなことが言えないのですが……)*4

15時頃

さて、Nginxの設定が終わったので私もアプリとデータベースの改修のほうに合流しました。

計測の結果*5時間がかかっていそうということで最初に俎上に上がったのが、選んだ椅子に適した物件の一覧を表示する recommended_state APIのクエリでした(top の結果からもDBアクセスがボトルネックになっていそうな結果でした)。 これは6つの条件をORでくっつけた条件で物件を選び出すもの(見た目からしてやばそう)でしたが、それが「どの向きでもいいから椅子が扉から入るかどうか」という条件であることが解明され、椅子の高さ、幅、奥行きのうち小さい2つを用いて検索すれば2つの条件のORにできることが(かなり早々に)わかっていました。

-- before
SELECT * FROM estate where (door_width >= ? AND door_height>= ?) OR (door_width >= ? AND door_height>= ?) OR (door_width >= ? AND door_height>=?) OR (door_width >= ? AND door_height>=?) OR (door_width >= ? AND door_height>=?) OR (door_width >= ? AND door_height>=?) ORDER BY popularity DESC, id ASC LIMIT ?

-- after
SELECT * FROM estate WHERE (door_width >= ? AND door_height >= ?) or (door_width >= ? AND door_height >= ?) ORDER BY popularity DESC, id ASC LIMIT ?

が、なぜかくっつけただけで等価なはずの条件で検索しているのにベンチマークが結果不正で落ちていました。いくつか手でリクエストを送って結果をデバッグログに出して眺めてみると、確かにたまに異なる結果が返っていることがわかりました。

それで頑張っていろいろ原因を探していたのですが、DBへのクエリ自体をprintf*6してみたところ、そもそもクエリが「椅子の高さ、幅、奥行きのうち小さい2つ」で組み立てられていないことが判明しました。 ……JavaScriptの配列の sort() をそのまま使うと「要素を文字列に変換してからソートする」のが原因でした、はい。

これを修正するとベンチマークが通りました。たしか560点くらいで今回の最高値がここで出ていたと思います。

17時頃

これで一段落はしたのですが、先ほどのクエリについて、ORは遅いらしいからUNIONに変えようというので、kurimotzくんが奮闘を続けてくれました。 なのですが、なぜか正しい値が返らないということが続いたため、私は値の簡易チェックツールを作ったり、Nginxの入り口を別のアプリとは別のサーバーにする設定などしていました。

そんなこんなしているうちに、「データベースにある各物件に対して、扉の幅、高さのうち大きい方、小さいほうを予め計算してデータベースに入れておけばrecommended_stateでORがいらなくなるのでは」というアイデアが出ました。 それでいけそう、ということでUNIONはやめてそちらを実装することに(初期化APIを呼んだときにデータベースをいじれば、その時間はベンチマーク結果に影響しないようでした)。aotsukiくんが高速に実装してくれました。

その間は並行してnazotte(なぞって検索)の挙動の確認などをしていました。

これは与えた多角形に含まれる物件の一覧を表示する機能なのですが、この部分のコードを見ると、「DBにまず(多角形を含む)矩形に含まれる物件を問い合わせ、そのそれぞれの物件に対して多角形に含まれるかをDBに問い合わせて判定する」ということをしていました。 ぱっと見てN+1問題が起きてはいるのですが、後半の多角形衝突判定がどう考えても重いため、このようにしているのは妥当に見えました。

というより、これを改善するためには多角形判定をJS側で自力実装するしかなさそうで、厳しそうなので見送ることにしました*7。 なお、後でDiscordでの感想戦を眺めた限りでは自力実装していたチームも結構あり、またそこの誤差で死んでいるという報告もありました。見送った判断は妥当だったかなと思います。

19時頃

DBをメモリに載せてしまえば速くなるのではないかという話になります。 また、3台のサーバーのうちまだ2台(Nginxに1台、アプリケーション及びDBに1台)しか使っていなかったので、データベースの「椅子」「物件」のテーブルを別のデータベースにしてしまえばいいのではないかというアイデアも出ました*8。 ここからはこの2つを並行してやっていくことになります(私は主にデータベース分割のほうをしていました)。

しかし、前者は適切なメモリ割り当て量がなかなかわからない、後者は別のマシンからのDBへのアクセスがなかなかできない(セキュリティ周りの設定で手間取った)という問題で難航します。一度はDBにメモリを割り当てすぎてメモリを食い潰し、SSHで操作できなくなってしまって運営にサーバーの再起動をお願いする羽目にもなりました(すぐに対応していただけてありがたかったです)。

DBをメモリに載せるほうは、一応成功したのですが、ベンチマークしたところ点数がめちゃくちゃ落ちたため導入しないことにしました。

DBの分割も、終了20分前あたりになってようやく成功します。 が、ベンチマークを走らせようとする段になって問題発生。 「アプリを手動で起動した場合は正常に動くのに、systemdで起動した場合はrecommended_estateなどの一部機能が動かない」という謎現象に直面しました。競技終了後には再起動試験があるので、systemdで起動するようにしておかなければならないのですが、それがうまくいかないのです(競技中はprintfデバッグのしやすさなどから適宜手動起動に切り替えていました)。

パニックになっていろいろ試したのですが、うまく動かないまま試合終了。 終了3秒前くらいに思い出したように投げたベンチマーク結果(460点くらいが出た)は終了後に結果が返ったので無効。結局少し前のバグっていたときの0点が最終的なスコア(本戦出場チーム以外は参考得点扱いではありますが)になりました。

反省

翌日になってkurimotzくんが究明してくれたことですが、最後の「systemdで正常に動かない」問題は、「systemdで起動するときだけenv.shという(初期設定の)環境設定ファイルを読み込んでいた」かつ「アプリ側はenv.shの設定がないときだけ別サーバーのDBを読みに行くようになっていた」ことが原因でした。

const dbinfo = {
  host: process.env.MYSQL_HOST ?? "127.0.0.1",
  port: process.env.MYSQL_PORT ?? 3306,
  user: process.env.MYSQL_USER ?? "isucon",
  password: process.env.MYSQL_PASS ?? "isucon",
  database: process.env.MYSQL_DBNAME ?? "isuumo",
  connectionLimit: 100, // 最初は10
};
const dbinfo2 = { // estate
  host: process.env.MYSQL_HOST ?? "10.164.20.102",
  port: process.env.MYSQL_PORT ?? 3306,
  user: process.env.MYSQL_USER ?? "isucon",
  password: process.env.MYSQL_PASS ?? "isucon",
  database: process.env.MYSQL_DBNAME ?? "isuumo",
  connectionLimit: 100, // 最初は10
};

あまりの凡ミスで悲しくなります。周りの話を聞くに、このDB分割が正常に動けばかなり点数が上がっていたようで、あと少し時間があればというところ。

また、最後の最後までこれに手をとられていたせいで、計測ツールのコードを除去したりログを吐かない設定にするなどの基本的なことに手が回らなかったのも惜しいところです。 こういった最後の調整のために最低30分くらいは残しておくべきだったなと思います。

内容的な面ではrecommended_stateという一つのAPIの改善にこだわりすぎたのが第一によくなかった点かなと思います。一箇所の最善を求めて時間を費やすのではなく、もっと広く目を向けるべきでした。

とはいえ、これはそもそも「ORをUNIONにするとどれほど速くなることが期待できるか」といった知識に欠けたことが原因の一つで、他に「{データベースをメモリに載せると、データベースを垂直分割すると、データベースに計算をさせる部分を除くと}どれだけ速くなることが期待できるか」分からず雰囲気でやっていたことも含めて、経験不足というのが根源的な原因であろうと思います。

ISUCONは短い時間で必要な措置を見極めて実装するという競技の性質上、試しに実装しなくても見切れる経験・知識が大事なのではないかなと思うところです。

終わりに

思ったことがうまく実装できず、実装できたところもあまり点数上昇に結びつかなかったことから、残念ではありました。

が、練習、本戦通して学べたことは多くありました。私としては特に、座学ではよく分かっていなかったデータベースまわりの感覚が実践を通して少し分かったのが大きかったです。あと8時間超ぶっ続けでやるとめちゃくちゃ疲れること、疲れた状態では判断力が低下することも……。

チーム競技はICPC国内予選以来ですが、やはり一人でやるより楽しいです。来年もISUCONがあるならぜひ出たいと思います。 運営の方々、長時間の準備と対応お疲れ様でした*9。そして、ありがとうございました。

次は今回の反省を活かしもう少し手際よくやっていきたいですね。めざせ100万円!

*1:なお、チーム名はSNS部方式(各人3つずつ単語を選んだ9つを合わせ、その中から3つランダムに選びつなぎ合わせる)で決めたものです。

*2:解説・講評記事によれば今回の作問担当がリクルートのチームで、自社サービスネタということらしいです。私はSUUMOがリクルートに運営されてることを知りませんでしたが……。

*3:なお、これの補償措置ということで競技時間は8時間から40分延びて21時までになりました

*4:講評によると最初のうちはBotを弾いてもあまり点数が上がらないという仕様だったようです

*5:実は練習のときと違ってNewRelicがDBの詳細を吐いてくれない問題があったのですが

*6:JSなのでconsole.logですが

*7:競プロの幾何問題か?

*8:データベースをいじった経験はほとんどなかったけれど、ソシャゲ会社のインフラエンジニアをやっている先輩の愚痴を聞いていたため「垂直分割」という言葉だけは知っていたのです。

*9:まだ本戦があるので終わっていませんが。

電子書籍雑感

電子書籍について思うことを淡々と*1

来歴

「いつか会社が潰れたら読めなくなる電子書籍なんてそんな不安なもの買えるか」って昔は言っていた。

転機はAmazonのセールでKindle Fire HD8を買ったとき。これを機に電子書籍を試してみるかと思った。ためしに青空文庫作品を入れてKindleのあまりの組版品質の悪さ*2に愕然とし、別の電子書籍販売サイトを比較しまくった。

今では結構な割合を電子書籍で買って読んでいる。

一番大きな理由は、部屋のスペースが足りないこと。自室に身長以上の高さのある本棚を2つ置いているのに、部屋の床には入りきらない本が散乱している。電子書籍に慣れてきて、強い理由がない限り電子書籍のほうに倒そうという気持ちでいる。

それと、京大から阪大に転学し、自転車通学から往復3時間ほど電車とバスに乗る生活に変わったことも大きい。家を出るときに考えて鞄に本を忍ばせなくても、スマホでお手軽に思い立った本を読めるのは偉い。

セールがあるのもよい。「ちょっと気になってたけど……」な本を買う動機ができる。基本的にネットを眺めるよりも本を読んだ方が得られる体験の質は高いので、ネットに流れがちな体を本の側に向けてくれるのは偉い。

使っている電子書籍販売サイト

大前提として私がよく買っている本の種類を共有しておくと、きらら系漫画、哲学や社会学っぽい本、歴史の本、明治~戦前期の日本文学あたりである。

物理学徒やプログラム書きをやっているが、そういう理系の本は紙で買うことが多い。逆に電子書籍を買うようになって、今まで敬遠していたビジネス書系の本をたまにセールで買って読んだりするようになった*3

BookLive!

booklive.jp

前述したとおり、電子書籍販売サイトごとの組版の質を比較したところ、かなり良かったのがここ。

凸版印刷の子会社で、蔦屋、東芝NECの資本が入っている。出版社系ではないからいろんな出版社の本があるし、凸版印刷ならそうそう潰れないかなという気持ちでここをメインで使うことにした。

戴冠として、網羅性については問題ないと思う。ここで検索して出てこなかった本はそもそも電子書籍版が存在していなかったということが多い。

1日1回引けるクーポンガチャがあり、例えば「実用書・ビジネス書全品が10冊まで15%OFFクーポン」とかが出てくる。有効期限は1日。また、1回だけ引き直せる*4。ガチャのデザインに品がないといわれると何も言えないが、「そのジャンルならこれ買っておくか」ができるので、体験としては悪くないと思う。私はやんわりと本の購入を後押ししてくれるサービスが好きなのかも知れない。

一方問題点を挙げると、セールが渋めなことが大きいかなと思う。「Kindle電子書籍サイトでセール中」というときもBookLiveが対象になっていないことが多い気がする。

閲覧環境の面では、Androidアプリは問題なし。ストレス無く文字が読める環境が用意されていると思う。Windowsアプリはもうちょっと頑張って欲しいかな。特に高精細(HiDPI)環境に対応してほしい。

目を引くところは無いけれど、総じて無難にできていると思う。

BookWalker

bookwalker.jp

角川*5直営の電子書籍ストア。角川以外の本もあるが、漫画・ライトノベルに強くそれ以外はあまりないという印象。

私が使い始めたのは最近(3週間前)。使い始めた理由は単純明快で、この前の芳文社70周年記念1冊77円セールがBookLiveでは行われていなかったため、別のサイトを探す必要があったから。その中でこれを選んだのは、なんとなくビューアーがモダンな雰囲気だったのと運営母体が大きいというのが理由として大きい*6

閲覧環境としては、Androidアプリは特に問題なし。小説だと余白などの設定をかなり細かくできる。Windowsでは、Windows向けのビューアが開発終了していてWebブラウザで読むことになるが、漫画では問題ない。小説向けはもう少し調整が効くと嬉しいか。

前述のセールで250冊ほど買ったので、そのままでは本を探すのが難しく、「本棚」機能を使ってみることにした*7。この本棚機能はわりと独特(たぶん)で、単なるリストではなくて「25冊並べられるマガジンラックに取捨選択して並べる」といった風情。25冊でなく16冊や49冊の本棚も選べるが、とにかく有限なのが特徴。 「ここに並べるといいかな~」とか考えつつ本を選んで棚に入れていくのは、やってみると案外面白い(一気に買いすぎたために面倒であったのは否定できないが)。

電子的なものを買うと今ひとつ実感が沸きにくいところがあるが、こうやって一冊一冊と向き合うと買った本に愛着も沸いてくる。面白い機能だなと思う。

もう一つ面白かったのが、「本棚連携」サービス。

「別のサイトで購入した本がBookWalkerでも読めるようになる」というサービスである(まぎらわしいが、前述の本を並べる「本棚」機能とは関係ない)。その数少ない「別のサイト」の中にたまたまBookLiveがあったので連携をしてみたところ、確かにBookLiveで買った「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ」全2巻と「新約 とある魔術の禁書目録(11)」がBookWalkerの購入履歴に追加された。なぜこの3冊だけなのかと思ってヘルプを読むと「KADOKAWAグループ各社の書籍(一部対象外あり)」だけが対象とわかった。なるほど、出版社運営の電子書籍販売サイトと書店運営の電子書籍販売サイトの間だからこその協定である。

BookWalker方面の一方通行でしかないこと、一度連携させると何があっても解除できないことなど難点はあるが、電子書籍販売サイトが乱立する中で、この試みは良いと思う。もっと広がってほしいものである。

他、ちょっと便利だったのは本を読み終えたときに読書メーターに飛べる機能。これを見るまで知らなかったのだが、読書メーターは買収を経て角川系列になっていたのである。

一方、難点の中で最も大きいのは、ポイント(コイン)の有効期限が短いことだろうか。

ポイント(コイン)は、基本的に「購入日より5ヶ月後の月末」に失効する。前述の「初回購入50%還元」に至っては、特例的に「購入日の翌月の月末」に失効である。ポイントを失いたくないなら、それなりの頻度で使う必要がある。

もう一つ、どうしても言いたくなってしまったので、多くの人には関係の無い難点を挙げておく。

BookWalkerは海外向けにもやっているので、海外向けサイトにアクセスすれば日本人でも英語版の漫画・ラノベが買える(アカウントは日本語版と共通)。それでいくつかラノベを眺めてみたのだが、……組版の質がひどすぎる。従属欧文っぽい書体。斜体はイタリック(斜体用にデザインされた文字)ではなくオブリーク(ふつうのフォントを機械的に斜めに歪めてつくった文字)。そしてベースラインも揃っていない。

海外のオタクはあれで満足できているのだろうか。早急にどうにかしたほうがいいと思う。Kindle組版がひどいと散々文句を言ったが、やっぱり海外の事情には目が行かないという話なのかも知れない*8

結語

組版についての文句ばっかり言っていた気がする。本のめんどくさいオタクになってしまった。

今の電子書籍の仕組みは、デジタル情報の「コピーが無劣化かつ容易にできる」という性質が、書籍と相性が悪いということに根ざしている。もうちょっとどうにか上手い方法がないのかなと思うところである。

最初に挙げた、昔思っていた不安の材料は、今も解消していない。私が単に易きに流れてしまっただけだ。

とはいえ、易いものがサービスとしては正しいだろう。

今はかつてない出版不況であるという。「新時代の出版」たるWebメディアが盛んになっているのだから、それと競合する書籍出版が不況になるのは当然のことだろう。しかし、「無料」が当たり前になってしまい広告が猖獗を極めるWebの世界と違って、セールとは言ってもお金を出してものを買うのが当然の書籍の世界には別の道が残されていると思う*9

そんなわけで、適度に易く、電子書籍にも頑張ってもらいたいと思うのだ。

*1:しっかりした文章を書こうとするといつまで経ってもブログを更新できないので……。

*2:売り物にしちゃだめなレベルだと思う。

*3:正直その手の本をめちゃくちゃ馬鹿にしていたけど、案外悪くないなと思う。いまのところ、ハヤカワ文庫でSFに混じって出ているものが、抵抗が少なくて良い。

*4:SNSにシェアすると引き直せる」という触れ込みだが、シェアボタンを押して出てくる投稿画面をそのまま閉じても問題なく引き直せる。

*5:今はKADOKAWAとローマ字社名になってるけど面倒なので漢字で通すことにする。

*6:それと「初回購入額の半額分ポイント還元」というキャンペーンがあるのもあった。初回に一気に買うほどお得だが、200冊までしか一度に購入することはできないようである。

*7:本棚機能は形は違うもののBookLiveにもあるのだが、まだ25冊ほどしか買っていなかったので必要を感じず使っていなかった。

*8:なお、日本の電子書籍販売サイトでも日本語書籍の組版がひどいところはたくさんある。一番酷かったのは「文字を4分空きくらいで組み、句読点が入るときはその空きに押し込む」という明治時代さながらの組版をやっていたところ。びっくりした。

*9:これはダン・アリエリー『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』(早川書房)でかじった行動経済学の知見による。

青空文庫を読みやすくするユーザーCSS

青空文庫をちょっと眺めていたら、ルビのある行だけ行間が空いていて、つらく思えたのでユーザーCSSを書いていました(ほんとはそんなことしてる場合じゃないのに……)。
知見を共有しておきます。

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ドラッグアンドドロップされたファイルをWSLのコマンドに渡すバッチファイル

小ネタ。

Windowsでちょっとした作業を自動化するのに便利なのがバッチファイルへのドラッグアンドドロップだ。 スクリプト言語はいろいろあるが、多くの場合コマンドラインからファイル名を指定して起動する必要がある。 それに比べるとドラッグアンドドロップはかなり直感的でお手軽である。

ファイルをバッチファイルにドラッグアンドドロップすると、ファイルをそのバッチファイルの引数にとってバッチファイルが実行されるので、普通にWindowsのコマンドにファイルを渡すのは簡単だ。 ただ、これを使ってWSL(Windows Subsystem for Linux)のコマンド(WSLにインストールしたソフト)にファイルを渡すのは、パスの変換の問題があり、少し面倒である。 ここではその方法について解説する。

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ことのは日記(2): エスターライヒ

連載企画「ことのは日記」は、日常で見て気になった、調べてみて面白いなと思った言葉や表現を紹介していく企画です。

第二回の今日は「エスターライヒ」です。

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ことのは日記(1): pravda vítězí

連載企画「ことのは日記」は、日常で見て気になった、調べてみて面白いなと思った言葉や表現を紹介していく企画です*1
言語学とかは特に勉強していない素人が、辞書なりWikipediaなりをソースに調べてみました!」という記事になります(いかがでしたか?)。
できる限り正しさには気をつけますが、あんまり内容は鵜呑みにしないでくださいね。

初回の今日は “pravda vítězí” です!(週一回くらいは書きたいなぁと思います)
それと、ここは敬体で書きましたが本文は常体でやっていこうかなと思います。

*1:もうちょっと良い名前ないかなぁと思っています。案募集中です。

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